間違い電話とオレオレ詐欺

携帯に着信があり、出ると全然知らない人の名前で呼びかけられる。間違い電話だ。
「あ、おばちゃん〜?」と幼女にいきなり呼びかけられたときは、「間違い電話です」と無碍なく切るのはちょっと憚られた。
お母さんに「自分でかけてごらん」と番号を読み上げてもらって、相手が出たと思ったら変な外人の女に「間違いよ!」って言われて凹んでないかな……などと想像したら少し心が痛んだ。
たぶん考えすぎだけど。

台湾でもオレオレ詐欺はある。
台湾の場合は、ほぼ必ず台湾語(閩南語/福建よりの方言)で話すのが特徴かな。
仕事や学校では一般的に國語(中国語/いわゆる普通語)を使うのだけど、親しくなってくると台湾語で話す場面が多くなってくる。
以前、彼氏に「なぜわざわざ台湾語で話すの?」と聞いたら、「親近感がわくから」という回答だった。
東京で仕事をしていて、取引先の担当者が同郷人とわかった途端に郷土の言葉で話し出す感じに似てるかもしれない。
台湾には標準語としての國語と、方言としての台湾語、客家語などがあるのだけれど、その辺りの話は別の機会に改めて。

さて、携帯に出てみると、台湾語で切々と何かを訴える女児の声。
私は台湾語は簡単なフレーズをいくつか知っているだけなので、電話の相手が何を言っているのか全く理解できない。私の素性を知っている人からの電話なら台湾語で話し続けることはないので、相手の目指す人が私じゃないことは明らかだ。
半ベソの声で切々と何かを話している。怪我をしたのか迷子になったのか、はたまたお金を落としたのか。が、こちらは相槌の打ちようもない。
話が途切れるのをしばらく待ってみたが止まる様子がないので「かけ間違いですよ」と國語で言った。
するといきなり沈黙、ガチャ切りされた。
間違いなく詐欺電話だろう。
田舎に住んでるばあさんとかをターゲットにしてるんだろうな。
女児の声色を使っているという点に悪どさを感じる。
児童を犯罪に加担させているのだろうか。幼い声の大人の悪巧みだと思いたい。

台湾は日本よりも親子関係が近い。
「大した用でもないのにじゃんじゃんかけてくるお母さん」
v.s.
「うざがりながらも毎回ちゃんと電話に出る息子」
が台湾には溢れてる。
だから「あんたのさっきの電話の件なんだけど」なんて切り出されて「なんのこと?それ詐欺だよ」となるのが容易に想像できる。成功率もきっと日本より低かったんじゃないかな。

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中国語:你打錯了(ㄋㄧˇㄉㄚˇㄘㄨㄛˋㄌㄜ˙)
日本語:かけ間違いですよ


 

Last Updated on 2021年7月16日 by