SARSのとき03〜英霊として忠烈祠に

SARSは特にこれといった決定打もなく、人から人への感染の封じ込めに成功したことで収束した。最後の感染者はどうしたのだろう。助かったと記憶しているが定かではない。

SARSが流行した頃に、小説の一編を思い出した。
星新一のショートショートだと思っていたが、いま調べて見たら新井素子の「週に一度のお食事を」だった。
以下、あらすじ。

吸血鬼と共存する世界。吸血鬼になると日中は出歩けないし、鏡に映らなくなってしまうけれど、不老不死で食事も要らない。
一年後、吸血鬼は一部の大陸を除き世界中に分布していた。やがて吸血鬼同士の吸血事件が多発するようになる。
吸血鬼が増え過ぎた。
銀の弾丸で撃たれると塵となって消えてしまう吸血鬼。
そして、吸血鬼をまるっと処分できれば、食糧不足問題に続き、土地不足問題も解決できる……

SF小説の話。だから現実にはならない。わかっているけれど、ついSARSと重ねてしまった。

台湾人医師が日本旅行から帰国後に発症したというニュースもあった。
いよいよ日本でも流行か!?と騒がれたが、ありがたいことに日本人の感染者は1人も出なかった。
日本人と韓国人は感染者が出ないということで「日本人の手洗い・うがいの習慣がいいのでは?」と言われたり、「キムチが効いているのだ」と話題になったりした。

SARSの治療にあたって命を落とした医師・看護師の方々は、英霊として台北の忠烈祠に祀られている。
忠烈祠の衛兵交代は、大門から大殿までの距離を整列したまま移動するさまが圧巻で一見の価値ありだ。
訪問される際は、祀られている方々やSARSのことにも想いを馳せてもらえればと思う。

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日本語:キムチ
中国語:韓國泡菜(ㄏㄢˊㄍㄨㄛˊㄆㄠˋㄘㄞˋ)


 

Last Updated on 2021年7月22日 by