台湾のことを話そう

台湾とコロナと仏教の話

台湾から帰国した日本人にコロナ陽性反応が出た。というニュースが単発的に報道される。私が調べた限りではこんな感じだ。

  6月20日 :20代女性。日本到着時のPCR検査で陽性反応。
  8月1日  :30代男性。日本到着時のPCR検査で陽性反応。
  9月14日 :50代男性。日本到着時のPCR検査で陽性反応。

このうち、9月に帰国した男性の続報を発見した。
9月20日、21日の追加検査で陰性だったようだ。記事には「該当の男性が当局に自主的に連絡してきた」とある。
(衛生福利部疾病管制署:http://at.cdc.tw/3L0MPM
6月に帰国された方と8月に帰国された方のその後の消息は見つけられなかった。

訪台外国人が帰国後に陽性反応が出たというニュースはとても心臓に悪い。
無症状患者が台湾のあちこちにいるのではないかと疑心暗鬼になる。
実は7月にこんな事例も起きている。
仕事で台湾に滞在していたベルギー人男性が、帰国前に自費でPCR検査を受けたところ、陽性反応が出たというのだ。
ただし、彼は台湾入境前の3月に嗅覚/味覚障害を感じていたらしいので、無症状のまま自然治癒、その後訪台した可能性が高そうだ。
(中央通信社:http://japan.cna.com.tw/news/asoc/202008020004.aspx)

それを受けてかどうかは不明だけれど、彼の主な滞在先であった彰化縣では、自宅隔離を実施中の全員に対して、国の規定を無視してPCR検査を行った。
この件に関しては台湾国内でも賛否両論のようだ。
これに対する台湾衛生福利部長の陳時中の見解は「14日間の隔離を徹底する」だ。
(中央廣播電台:https://jp.rti.org.tw/news/view/id/92782

私自身の台湾入境時のあれこれはここに書いた通り。(7月16日、台湾再上陸
“PCR検査を無闇に信用しない”という点に関しては、陳部長に激しく同意する。

タクシーの短距離利用や、近所のコンビニ、ゴミ収集車を待つ間とか、マスクなしでもOKな場面も増えたが、公共交通機関や大型スーパーを利用する際はまだマスクが必須だ。
MRTの改札には監視員が立っているし、バスでは「そこの人、マスク着用してください〜」と車内アナウンスが入る。
私本人もMRTの連絡通路(ほぼ屋外)で息苦しくてマスクをずらして歩いていたら、係員に「ちゃんと着用してくださいね〜」と注意を受けた。

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台湾人が親切なのは仏教の影響が強いと私は考えている。
ボランティアをする動機は「極楽浄土へ行くため」であると以前台湾人の友人に聞いたことがある。
「人間は本来罪深い生き物であるから、生前に功徳を積まなければ地獄に落とされる」と言われている。悪行三昧な人はもちろんだが、積極的に功徳を積まない人(いわば±0な人)も地獄に落ちるのがデフォルトらしい。

今年4月のことだが、在台イタリア人神父が母国のコロナ救済募金を台湾で募り、野菜を売って貯めた800元(約2,800円)を寄付したおばあちゃんのことがニュースで流れていた。「神父さんにはいつもお世話になっているから」と寄付に来たのだそうだ。

お寺にも参拝するし教会にも礼拝に行くという台湾のご老人は少なくない。
識字率が高くないことも関係しているのではと思う。私の姑は大人になってから写経で字を覚えたというし、ご近所のおばちゃんは商売のために中国語(北京語)を覚えたと言っていた。
台湾語には文字がないので、台湾語しか話せないということは、文字媒体の情報が理解できないということとイコールだ。
だからお寺に教会に足を運ぶのかもしれない。行けばありがたいお話が聞ける。
実はそれこそが信仰の本質なのかもしれないとも思う。

奉仕と言ってもいろんな種類がある。金銭を提供する以外にも、労働力や能力(語学力等)を提供することもそうだ。
いつも笑顔でいることだって立派な功徳。「無財の七施」というのだそうだ。
マスクをするしないで搭乗拒否されたという日本のニュースを見たけれど、なんだかとても滑稽に感じた。
たかがマスク。でも、マスク着用は他人のためでもあるし自分のためでもあるし、「袖振り合うのも多生の縁」だし「情けは人の為ならず」なのだ。
なんて、もっともらしく書いてるけど。
当たり前のことなのにな。台湾にいると特にそう思う。
台湾がコロナの制御に成功していることと仏教(信仰心)と奉仕の心は、私にはこんなふうにひと繋がりに見えています。

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中国語:七種施因緣(ㄑㄧ ㄓㄨㄥˇㄕ ㄧㄣ ㄩㄢˊ)
日本語:無財の七施

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