【中国語怪談話】芸術ビル、女子寮/宮燈大道

今回ご紹介する中国語怪談は、中山學にまつわるお話と、淡江大學にまつわるお話の二本立てです。


本文

『中山大學–藝術大樓、女宿』
眾所皆知校內的「藝術大樓」非常陰,相傳有學生在此搭電梯到地下室時,看到電梯間[1]有一名下跪的女子,仰頭盯著自己看。也有警衛巡邏地下室時沒有發現異狀,回放監視器才發現有女子下跪著一直在電梯間盯著自己看。
另外還有「紅白塑膠袋」的傳說,傳聞過去有位罹患重度憂鬱症的學姊,有一天[2]想不開而在女宿裡自殺。她先服用安眠藥,再用紅白塑膠袋套住頭來悶死自己。在那之後,房間就常常發生[3]難以解釋的靈異事件[4]像是會突然感到寒冷、房間莫名出現紅白塑膠袋,或是看到頭套塑膠袋的學姊飄過

『淡江大學–宮燈大道』
位於宮燈教室旁的宮燈道,相傳有個宮燈姐姐會在晚上問人說「請問現在幾點?」,但其實大家都看不到是誰問的。而宮燈姐姐的故事據說是多年前曾有位女學生,某天跟男友相約在宮燈大道要私奔,結果[5]男友遲遲未來[6]女學生便自殺了

<出典>
NOWnew懶人包
https://onepage.nownews.com/novel/strange/taiwan-university-ghost-story


解説

[1]有一名下跪的女子
ここでは「うずくまった女がいて」と訳しています。
直訳すると「ひざまづいたある女性」となりますが、滑らかな文章になるように意訳しました。
本文中の「有一名」は有一位/有一個と言い換えられます。
どれを使っても意味は同じですが、こんなふうに使い分けされています。
  名:中立
  位:尊敬を含む
  個:汎用的

具体的にはこんな感じ。
  今天有三位客人:OK
  今天有三個客人:間違ってないけど、お客様本人の前では言わない方がいいかも

  同案有兩名被告:OK
  同案有兩位被告:訳すと「お二人の被告人」……意味は伝わるけど違和感が強い

[2]想不開
ここでは「思い余って」と訳しています。
「思い悩む」という意味で、「想いが開かない」=「一つ事に囚われて頭の中が解放されない」というイメージになります。

 <想開/想不開>を使った例文
  你想開點吧!
   (もうくよくよするな!/こだわっててもしょうがないよ!)

  他想不開就離開日本了。
   (彼は思うところがあって日本を離れた。)

[3]難以解釋的靈異事件
ここでは「なんとも説明のつかない怪現象」と訳しています。
「難以~」とは「〜することが難しい」という表現です。
「できないわけではない」が難しいという表現ですね。
「無法解釋」となると「説明することができない」という言い回しになります。
「難以」と「無法」を比較してみます。

 <難以/無法>を使った例文の比較
  日本櫻花的美,用語言難以形容。
   (日本の桜の美しさは、言葉ではなんとも表現しきれない。)
   ※このあとになにか例え話が続きそう

  日本櫻花美到無法形容。
   (日本の桜の美しさは、全く表現のしようがない。)
   ※「美しい」と言う言葉以外に思いつかない

[4]像是會突然感到寒冷、房間莫名出現紅白塑膠袋,或是看到頭套塑膠袋的學姊飄過
ここでは「急に寒気を感じたり、置いた覚えのない紅白ビニール袋が置いてあったり(中略)ビニール袋をかぶった人影が部屋を横切るのを見たという話もある」と分割して訳しています。

文章中の「,」と「、」の呼び名はそれぞれ以下の通り。
  「,」:逗號
  「、」:頓號

『逗點』は日本語の読点に相当し、『頓號』は二つ以上の事柄を並列するときに使用します。
本編の例文では、

となっているので、AとBを「〜たり、〜たり」と並列させてセンテンスを完了させ、その後にCの訳文を続けました。

[5]男友遲遲未來
ここでは「なかなか現れない彼氏」と訳しています。
「遲遲」は「遅々として」「ぐずぐずして」という意味です。
対義語は「早早(早めに/とっくに)」になりますね。
ちなみに「遲早」だと「遅かれ早かれ」という意味になります。

 <遲遲>を使った例文
  但目前還遲遲無法有效控制疫情。
   (だが、いまだコロナ感染の効果的な抑制はできていない。)

  我天天努力運動,體重卻遲遲沒有下跌。
   (毎日運動してるのに、全然体重が落ちないんです。)

[6]女學生便自殺了
ここでは前のセンテンスの中で「…自殺したある女子学生だと言われている」と意訳しています。
「便」は「就」と同じ役割を担い、主に単調な文になるのを避けるために使い分けます。

 <便>を使った諺
  女子無才便是德
   (女子才無ければすなわち徳。
    ※家の仕事をする女は学が無い方が美徳とされた昔の概念)
  一朝權在手,便把令來行
   (権力を得た途端、あれこれ命令する)


訳文

『中山大学ー芸術ビル、女子寮』
校内にある「芸術ビル」は陰の気が強い場所として知られている。エレベーターで地階へ行くと、ホールにうずくまった女がいて、首をもたげて自分を睨んだという目撃談や、校内の見回りを終えて警備室に戻り防犯カメラ映像をチェックすると、うずくまった女が地階を見回る自分をじっと睨んでいるのが映っていたという警備員の話などがある。
また「紅白ビニール袋」という話は、重度の鬱病を患っていた女子学生が、ある日、思い余って女子寮の自室で自殺を図った。睡眠薬を飲み、紅白ビニール袋を頭に被って自らを窒息死させたという。その後、部屋にいて急に寒気を感じたり、置いた覚えのない紅白ビニール袋が置いてあったりといったなんとも説明のつかない怪現象が頻発するようになった。ビニール袋をかぶった人影が部屋を横切るのを見たという話もある。

『淡江大学ー宮燈大道』
宮燈教室の脇を通る宮燈道では、夜になると「いま何時ですか?」と問う女性の声が聞こえることがあるという。だがその姿を見た者は誰もいない。宮燈さんと呼ばれているその人は、数年前に自殺したある女子学生だと言われている。駆け落ちするために宮燈大道で待ち合わせしたものの、なかなか現れない彼氏を今も待ち続けているという話だ。



 
 

Last Updated on 2022年9月8日 by