520新総統就任演説
2016年5月20日、台湾の第14代総統蔡英文が総統に就任し、就任演説を行いました。
約33分間の演説はこちらから(中国語)。
https://www.youtube.com/watch?v=LdwJMbrJAK4
演説の全文はこちらから(中国語)。
http://www.nownews.com/n/2016/05/20/2106112
演説の柱は以下の5点。
一、経済構造の変換
二、社会安全ネットワークの強化
三、社会の公平と正義
四、地域の平和的安定的発展と両岸関係
五、外交と全世界的議題
就任演説中、蔡総統が「司法改革」についての話をしたときに、ひときわ大きい拍手が起こったことが印象的でした。
台湾の司法、ひいては政府に対する不信感は、依然として存在しています。
2014年の ひまわり学生運動 の一連の騒動はそれを顕著にさせましたし、直近では3月28日に起こった4歳女児通り魔殺人事件、また、兵役訓練中の指導の行き過ぎによる過失による死亡事故、それ以前に起こった凄惨な殺人事件も大いに関係しているように思います。
台湾で直接選挙が初めて行われた1996年からちょうど20年。
最初の4年は国民党の李登輝が続投した形で、実質的な ”初” 直接選挙は民進党の陳水扁が当選した2000年でしょう。
陳前総統が8年歴任し、その後、国民党の馬英九が8年勤めました。
私が赴台した2000年7月は、陳前総統が就任した最初の年で、そのフィーバーぶりをまだよく覚えています。
その8年後に国民党の馬英九前総統が、景気回復の大きな期待を背負って総統に当選。
そして今年の1月。民進党から再び総統が輩出されました。
「選ぶ」対象が、選ばれた後は「評価」の対象になるのは、致し方ないことなのでしょう。
(夫婦間でも同じことが言える…かも…?^^;)
異なるもの を選んで新しい風を吹かすことは、非常に正常なことと思いますし、「選挙」というものを真剣に考える台湾の政治は、日本よりも健康的であると思っています。
蔡新総統は、演説の後半、このように言っています。
以前的民主是選舉的輸贏,現在的民主則是關於人民的幸福;
以前的民主是兩個價值觀的對決,現在的民主則是不同價值觀的對話。田中訳:
これまでの民主は選挙の勝敗であったが、これからの民主は人民の幸せに関することになり、
二つの価値観の対立であったものが、異なる価値観の対話へと変わるだろう。
台湾は「和平的選舉的過程(和平的な選挙の過程)」を経て、これまでもこれからも変革を続けるでしょう。