国会議員の二重国籍問題について考える

民主党員蓮舫氏の二重国籍問題。
思い起こすと、2009年の台湾でも似たようなニュースがありました。
国民党議員数名がアメリカ国籍を取得していたことが暴露されたのです。
「国の大事をあずかる国会議員が他国の国籍を取得しているとは何事か」と当時はたいそうバッシングされていました。
2009年というと、国民党の馬英九氏が政権を奪還した翌年のことです。
台湾でのバッシング内容と日本のそれは、少し性質が違うように感じます。

台湾は、やはり “国” としての立ち位置が不安定なので、市井の人々からすると「母国を守るべき立場の人間なのに、有事の際には国民を捨て置いて真っ先に国外逃亡する気か!?」という不満につながるわけです。
蓮舫氏の場合はというと、「有事の際に台湾へ逃亡」というよりは、単純に「日本人であるか否か」というところに注目が集まっていると言えるでしょうか。
「江戸っ子は三代続いて江戸生まれ」とか、「老舗とは三代、百年、同業で継続し、現在も盛業」と言われたりして、日本人は “土着土民” かどうかというところに非常に強くこだわります。

台湾国籍は、事実上、成人した後も二重に保持し続けることが可能です。
蓮舫氏の場合は、議員になると決めた時に、自身の国籍について再確認するべきだったと思います。
「蓮舫」という名前を使う以上、政治的な局面ではそこを突かれる可能性が高いのですから。
とはいえ、日本国籍の取得については

日本の国籍の選択の宣言をする方法
 市区町村役場または大使館・領事館に「日本の国籍を選択し,外国の国籍を放棄する」旨の国籍選択届をしてください。

とあります。
(参照:法務省:国籍選択について
この制度に照らすと、現在日本国籍を保持しているということは、自動的に他国の国籍放棄の宣言も受諾されているということになりますので、蓮舫氏の二重国籍バッシングは非常にナンセンスだと個人的には思っています。

ところで、台湾の九份に「黃金神社跡」があることをみなさんはご存知でしょうか?
終戦後の台湾では、日本式の神社はすべて取り壊されてしまいました。
黃金神社も例外ではなく、いまでは数本の柱が残るだけのただの空き地となってしまいましたが、九份の、それは素晴らしい景色が望める場所に位置しています。
以前家族で遊びに行ったときに、隣を歩く台湾人カップルの話を聞くともなしに聞いていると、彼女が彼氏にこんなことを尋ねました。
「日本人の定義ってなに?」
「う〜ん…『日本式の教育を受けた人は日本人』と言っていいんじゃないかな」と彼氏。
私はとても良い回答だと思いました。
ちょうど李登輝前総統の「やっとこさ訪日」が叶った頃のことです。
李登輝氏は「22歳までは日本人だった」と自身でもおっしゃっているように、日本統治下の台湾で教育を受けています。
くだんのカップルは、すぐそばに中国語がわかる日本人がいるなんて思ってもいなかったでしょうから、もしかしたら辛辣な本音を聞かされるかも…、と実は少し身構えていたのですが、好意的な回答だったのでホッしたものです。

そもそも台湾は国際的に一つの国家として認められていないので、二重 “国” 籍という言い方にも首を傾げざるをえません。
私が国際結婚したときにも、私の戸籍の備考欄には「中国籍の某某と結婚」と記載されましたし、離婚して帰国してきて、子ども達を日本の小学校に転入させる際にも「中国からの帰国子女」という扱いでした。
市や学校の担当者からの電話連絡で「中国から帰国されたんですよね?」と問われるたびに「台湾です」と返答していましたが、書類上は “中国籍” と記載されていたのだろうと思われますし、現状ではそう記載するしかないのでしょう。

私の子ども達も日本と台湾の二重国籍です。
日本では、22歳になったら国籍の選択をしなければならない決まりがあります。
ただ、国際的に見ると、日本のように国籍選択を決めている国は少数派のようです。
二重国籍問題は、いまの時代には即さなくなってきているということなのでしょうね。
単一民族国家の日本では、これまであまり馴染みのなかった問題ですが、蓮舫氏の問題を経て、もっと多くの人が「国際社会」というものについて考える契機になるといいな、と思います。

Last Updated on 2021年7月22日 by