台湾のことを話そう

台湾の総合病院救急外来の対応

体育の授業中に何かを踏んづけた長男。靴底を貫通するほどの長く鋭利な何かで、小さいけれど深い傷を負ってしまった。
学校へ迎えに行き、タクシーで学校最寄りの病院へ。その後、大病院へ転院。
図らずも病院の武漢肺炎防疫対策を体験することに。

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学校最寄りの総合病院に着いてから、私と長男それぞれおでこでの簡易体温測定を経て掌に消毒液噴霧、その後カウンターで診療の手続きをとった。
(患者も病院関係者も全員マスク着用。もちろん私達も)
少しして合流した夫が、入り口で体温測定されているのが見えた。目で追っていると、彼も受付カウンターへ。自分の健康保険カードを提出して受付をしている。
「なぜ受診の必要がない夫が受付しているのだろう?」と不思議に思っていると、果たしてカウンターの女性が夫の手の甲にスタンプを押すのが見えた。
詳細を確認したわけではないけれど、来院者全員の氏名と来院時間を記録することで、病院内で武漢肺炎感染者が出た際の通知や追跡が行えるようにしているのだろう。
そういえば、私自身もカウンターで受付していたことを思い出した。
長男はまだ台湾の国民健康保険が使えないので、そのせいで保護者の身分証明証を提出させられたのだと思っていたが、そういうことだったのか。
冷静なつもりだったけど、私も少々動転していたようだ……

長男の足部のレントゲンで体内に残留物が認められた。様子見ということでこの日は帰宅。翌午後再受診してレントゲンで確認すると、昨日あった残留物が映っていなかったため、大病院への転院を勧められた。
そこで、家からほど近い 雙和醫院 へ向かうことに。

台湾では数年前から受診の基準を定めていて、風邪やちょっとした怪我の診察は診所(町の診療所),検査が必要と思われる場合は區域型地方綜合醫院(町の総合病院),更なる検査を要する場合は醫學中心(大学病院等の大規模病院)へ行くよう推奨している。
学校最寄りの病院は「區域型地方綜合醫院」に、雙和醫院は「醫學中心」に相当する。

夫の運転する車で雙和醫院の駐車場に入ると、係員数人が待機していて同乗者を含めた全員の健康保険カードと身分証明証の検札(長男は身分証明証のみ)と体温測定がドライブスルー方式で実施された。「防疫通行證(防疫通行証)」を人数分手渡され、駐車場への進入が許された。
救急外来へ。
診察室への付き添いは原則一人で、その他の同行者は待合室までしか入れない。
身分証明証の提出ののち「急診室陪病證(付き添い証)」なるものが発行された。
それまでは見たことがなかった証明書なので、武漢肺炎のこの期間だけの特別措置なのだろうと思う。
いずれも白黒印刷の簡易的なもので、病院から出るときに回収されるでもなく「ただ受け取っただけ」感が強いものの、ここでも来院者全員のその後の追跡を考慮しての手続きだということが見て取れる。

結局、待ち時間も合わせて約3時間ほどの滞在になった。
問診後レントゲン撮影、残留物は夜のうちに体外に排出されてしまったのだろうという結論に達し、傷口の消毒(のついでに目視で残留物の確認)後、数針縫って処置は終わった。
若さと体力もあるので、予後も心配なさそうだ。

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台湾では海外からの転入者は入境後6ヶ月経つまでは国民健康保険加入資格を持たない。
長男もまだ健康保険がない状態なので自費診療となったけれど、学校内での事故ということで学生向けの保険が適用されるらしい。後日保険料の申請をする予定だ。

台湾国内での武漢肺炎感染者数はゼロを更新している。海外からの転入者の確診が週に数人あるかどうかだ。
先の台湾海軍集団感染の際も、市中に感染者がいたにも関わらず、オーバーシュートは回避できたようす。
当初WHOが推奨していなかったマスク着用の徹底と、国民全員に行き渡らせる政策が功を奏したことは明らかだ。
ソーシャルディスタンスに関しては、みんな意識はしているものの、電車もバスも普通に利用するし、それほど厳しく実施しているわけではなさそう。時間差通勤や間引き出勤を実施している企業もあるので、混雑が緩和されているように思う。

今回の診察を経て、病院内で平時では必要のない雑務が増えていることを実体験し、感染予防に努めることの大事さも改めて実感した。

台湾はいまだWHOへの加盟が果たされていないけれど、今では教えを請われる立場だ。2003年のSARS当時を知っている身としては、胸のすく思いである。

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日本語:健康保険カード
中国語:健保卡(ㄐㄧㄢˋㄅㄠˇㄎㄚˇ)
 
 
 

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