[上海出張録]05.中国語のこと

私が話す中国語は、日本語なまりが入った台湾よりの中国語。中国の南部の訛りがあるんですね。
とはいえ、いわゆる標準語であるので、上海でも通じないわけはないだろうけれど…
たとえばフランスでは「フランス語を話さない外国人は相手にしない」と言われたりするように、「変な中国語話しやがって!」と本土人にバカにされたら嫌だなぁという不安がありました。
が、結論から言うと杞憂に終わりました。中国大陸はそれ以上に大きかったからです。

中国語を学んだことがない人向けに少し解説すると、中国語には「普通話」と「その他(方言)」の二種類があります。
普通話は主に北京を中心とした北の地域で話されている言葉が基準となっていて、新聞・ニュースなどのメディアをはじめ、学校教育の場で一般的に話される言葉です。
方言はその土地の言葉。台湾では台湾語(閩南語(福建方言)。通称「台語」)や客家話などがそれにあたります。
台湾で話されている中国語を「台灣國語」と言ったりしますが、南部訛り + 台湾語 + 日本統治時代から残っている日本語 が混じり合ったものを指した通称です。
例えば、「黑輪」とは中国語で「へいるぅん」と発音しますが、台湾語では「おれん」と読み、日本の「おでん」の音訳だったりします。

さて、上海で友人(台湾人)と出かけて、レストランへ入ったときのこと。
ウェイトレスが言った一言が聞き取れないのです。同行の友人に目配せすると、どうやら彼も聞き取れていない様子。
「ん?」と促すのですが、再び言ってもらってもやっぱり聞き取れない。
料理を運んできた給仕が言うことといえばたった一つ。「ご注文の品は揃いましたか?」
改めてよく聞いてみると、果たして彼女は「都齊了嗎?(ご注文の品は揃いましたか?)」と言っていました。
中国語には日本語には馴染みのない巻き舌での発音があって、北に行くほどそれが強くなるんですが、台湾では舌をあまり巻かずに発音します(それが南部訛りとも言える)。
ただ、彼女の言っていた「都齊了嗎?」には巻き舌が必要な語がないんです。それなのに強めの巻き舌で話していたので、さらに聞き取りづらくなってしまっていたんです。
おそらくですが、彼女も地方出身者だったのでしょう。北部訛りに近づけようと、わざと強調していたように思われました。

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例えば東京に住む日本人でも、生粋の東京人よりも地方出身者の方が多いでしょう。
中国の国土の広さを考えると、上海在住者のいったい何割が生粋の上海人なのか…
中国語は、母国語として話す人口が世界最多とも言われています。中国本土の他、香港、マカオ、シンガポール、そして各国に住んでいる華僑の方々…がそれぞれの環境で中国語を話しているのです。
地方毎に特徴が出ても当然なんですよね。

この経験を経て俄然自信をつけた私。
「上海でだって、現地人ですら訛りを悟られないように都会人ぽく振舞っている(推定)のだから、外国語として中国語を話している私の中国語が訛っているのは当然のこと。気にしない気にしない!」と開き直り、台湾で話しているのと同じように会話することにしました。
気後れしてモゴモゴ言うよりも、自分のレベルなりにしっかりはっきり話せば通じるもんです。誇張せず、背伸びせず、自分の語彙にある言葉で話すだけで、相手もちゃんと応えてくれました。
タクシーに乗った時も、リニアモーターカーに乗るために切符を買った時も、特に困ったことにはなりませんでした。
台湾にいると、私の日本語訛りの中国語を聞いた相手が「あんた日本人か?」と質問してきて、そこから少しおしゃべりしたりするのですが、上海ではそれがなかったくらいです。
私程度に訛りの強い人はそこそこいるのでしょうね。いちいち「どこの人?」とはならないくらいの多さで。

新幹線ホームでの待ち時間や、レンタサイクルの手続きで手間取っている時とか、気さくに話しかけてくれる人も少なくありませんでした。
中国人は無愛想でつっけんどんだという先入観を持っていたことを大いに反省。
上海にはまた行こうと思っているので楽しみが増えました^^
つづく。

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Last Updated on 2025年2月15日 by aki.tw